読み聞かせについて【東京大学大学院教育学研究科論文から抜粋】

    一度読んだ本に関しては、二度目以降の読み聞かせでは子どもの反応が多くなること、自分の驚きや思ったこと、発見した点などを、自ら声に出して語り合うことが増えることがわかっています。これは、子どもに自分で考える認知的な余裕ができたということを示しています
 長期にわたり繰り返し読んだ絵本に対して、子どもが同じ対話パターンを繰り返すことを楽しむことがあります。その意味は、子どもなりにこだわりをもった場面について安定した対話パターンを楽しむことにあるといわれています。繰り返し読むことは、大人からみると一見無駄や冗長に思われるかもしれません。しかし、子どもの求めに応じて繰り返すことそれ自体が、安定感を生み出し、対話することの楽しさや、絵本のおもしろさを確認し味わうといった読み聞かせの楽しさの一因を作り出していると考えられますまた、日常の親子関係のあり方が、読み聞かせのスタイルにも自然に表れます。子どもの興味・関心、親との会話のあり方は、子どもと親それぞれの特性と絵本に対する考え方、家庭でその親子がそれまでに培ってきた関係性や選ぶ本、読み聞かせの時の場所や時間、雰囲気という状況や文脈によって違ってきます。